○徳島市中小企業振興基本条例

平成26年12月25日

条例第47号

徳島市は,美しい水と緑に恵まれた徳島県の政治・経済・文化の中心都市である。江戸時代から明治時代にかけては,藍産業の興隆により,全国的にも有数の商業都市へと発展した。太平洋戦争における空襲によって市街地の大半が焼失したが,戦後は,市民の旺盛な復興意欲により,近代的な都市へと変貌を遂げ,多様で活力ある産業が育まれてきた。

その中にあって,中小企業は,市内企業の大多数を占め,地域の経済と市民の雇用を支えるとともに,地域に根差した活動を通じてまちづくりに貢献し,地域社会の担い手として,徳島市の発展と市民生活の向上をもたらしてきた。

しかし,近年,経済のグローバル化や国際分業の進展により国境を越えた企業間競争が激化しているほか,少子社会の到来に伴い,今後,国内における市場規模の縮小や労働力人口の減少が見込まれるなど,中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しており,これまで地域社会を支えてきた中小企業の活力の低下が懸念されている。

このような状況の下で,中小企業が成長発展し,これからも徳島市の発展をけん引するとともに,事業を持続的に発展させていくことにより,自立的で個性的な地域社会の形成に重要な役割を果たしていくためには,中小企業者自らが経営革新や新たな事業の創出,経営基盤の強化などに積極的に取り組むとともに,徳島市,中小企業団体,大企業者その他中小企業に関わる全てのものが中小企業の重要性や社会的役割を認識し,中小企業がその持てる力を最大限に発揮し得るよう,社会全体で支援していくことが必要である。

ここに,中小企業の振興を市政の重要課題として位置付け,社会が一体となって中小企業の振興に取り組むため,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,市の中小企業の振興に関し,基本理念及び市の施策の基本となる事項を定めるとともに,市の責務,中小企業者等の努力,大企業者等の役割等を明らかにすることにより,中小企業の振興に関する取組を総合的に推進し,もって地域経済の健全な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号のいずれかに該当する者で,市の区域内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者で,市の区域内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 中小企業団体 徳島商工会議所,国府町商工会及び商店街振興組合,中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条第1項に規定する中小企業団体その他中小企業の振興を目的とする団体で,市の区域内に事務所を有するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の事業者で,市の区域内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は,次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

(1) 中小企業者の創意工夫が生かされること。

(2) 中小企業者の経営の改善及び向上に対する自主的な努力が助長されること。

(3) 経済的社会的環境の変化への適応が円滑化されることにより,中小企業者の多様で活力ある成長発展が図られること。

(4) 市,国,県,中小企業団体,大企業者,金融機関,大学及び市民の間の連携が図られること。

(5) 市の区域内における地域資源の活用及び商取引の拡大が図られることにより,地域経済の循環が促進されること。

(6) 小規模企業者が,地域の特色を生かした事業活動を行い,地域における経済の安定並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与するとともに,将来における市の経済及び社会の発展に寄与するという重要な意義を有するものであることに鑑み,独立した小規模企業者の自主的な努力が助長されることを旨として,小規模企業者の活力が最大限に発揮されるよう小規模企業者の事業活動に対する事業環境が整備されること。

(市の責務)

第4条 市は,前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し,及び実施しなければならない。

2 市は,中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し,及び実施するに当たっては,中小企業の実態を把握するとともに,中小企業者及び中小企業団体の意見を反映するよう努めなければならない。

3 市は,工事の発注,物品及び役務の調達等を行うに当たっては,予算の適正な執行及び透明かつ公正な競争の確保に留意しつつ,中小企業者の受注の機会の確保に努めなければならない。

(中小企業者等の努力)

第5条 中小企業者は,経済的社会的環境の変化に適応するため,自主的に経営の革新及び経営基盤の強化に努めなければならない。

2 中小企業者は,事業活動を行うに当たっては,市の区域内における連携を重視し,市の区域内において生産,製造又は加工される物品を取り扱い,及び市の区域内で提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

3 中小企業者は,地域社会を構成する一員としての社会的責任を認識し,地域社会との調和を図り,より豊かで住みやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

4 中小企業団体は,その活動を通じて,中小企業者の経営の改善及び向上その他中小企業の振興に努めなければならない。

(大企業者の役割)

第6条 大企業者は,中小企業の振興が地域経済の発展に果たす重要な役割を理解するとともに,中小企業者が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し,中小企業者との連携及び協力に努めるものとする。

2 大企業者は,事業活動を行うに当たっては,市の区域内における連携を重視し,市の区域内において生産,製造又は加工される物品を取り扱い,及び市の区域内で提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第7条 金融機関は,円滑な資金供給並びに経営に関する相談及び助言を行うことにより,中小企業者の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

(大学の役割)

第8条 大学は,産学官の連携による取組が中小企業の振興にとって重要であることに鑑み,中小企業者が基本理念の実現に向けて取り組む事業活動への協力,人材の育成並びに研究及びその成果の普及に努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第9条 市民は,中小企業の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上に果たす重要な役割を理解し,中小企業者の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は,市の区域内において生産,製造又は加工される物品を消費し,及び市の区域内で提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第10条 市は,次に掲げる基本方針に基づき,中小企業の振興に関する施策を講ずるものとする。

(1) 中小企業者の経営の革新及び創業を促進すること。

(2) 中小企業者の経営基盤の強化を促進すること。

(3) 中小企業者の経済的社会的環境の変化への適応の円滑化を促進すること。

(4) 中小企業の振興に関する市民の理解を深め,協力を促進すること。

(5) 小規模企業者の経営の状況及び成長発展の状況に応じ必要な考慮を払うこと。

(児童及び生徒の勤労観等の醸成)

第11条 市は,児童及び生徒の勤労観及び職業観の醸成を促進するため,小学校での職場見学,中学校での職場体験,高等学校における主体的な進路設計に向けた学習等働くことの意義を実感できる体験活動等の充実に努めるものとする。

2 中小企業者は,前項の体験活動等の充実に協力するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第12条 市は,中小企業の振興に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(中小企業振興対策委員会)

第13条 中小企業の振興対策の樹立及び中小企業の振興に関する施策の推進に係る事項を調査審議するため,徳島市中小企業振興対策委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は,委員15人以内で組織する。

3 委員は,次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 市議会の議員

(2) 関係行政機関の職員

(3) 関係団体の役員

(4) 学識経験のある者

4 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

5 委員は,再任されることができる。

6 前各項に定めるもののほか,委員会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。

(実施状況の公表)

第14条 市長は,毎年度,中小企業の振興に関する施策の実施状況を取りまとめ,公表するものとする。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は,平成27年4月1日から施行する。

(徳島市附属機関設置条例の一部改正)

2 徳島市附属機関設置条例(昭和28年徳島市条例第5号)の一部を次のように改正する。

(「次のよう」は省略)

(経過措置)

3 前項の規定による改正前の徳島市附属機関設置条例第2条の規定により置かれた徳島市中小企業振興対策委員会(以下「旧委員会」という。)は,第13条第1項の規定により設置された委員会となり,同一性をもって存続するものとする。

4 この条例の施行の際現に旧委員会の委員である者は,この条例の施行の日に,第13条第3項の規定により委員会の委員として委嘱されたものとみなす。この場合において,その委嘱されたものとみなされる者の任期は,同条第4項の規定にかかわらず,同日における旧委員会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。

徳島市中小企業振興基本条例

平成26年12月25日 条例第47号

(平成27年4月1日施行)